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AWS、Microsoft Azure、Google Cloudのアーキテクト最上位資格の比較

こんにちは、電通総研 XI本部 サイバーセキュリティテクノロジーセンターの櫻井です。
本記事では 代表的なクラウドサービスプロバイダ(以降、CSPと略)であるAWS(Amazon Web Services)、Microsoft Azure、Google Cloudの最上位アーキテクト資格に関する比較を紹介します。
なお、本記事でご紹介する資格の情報は2026年1月時点のものとなります。

アーキテクト資格の種類

各CSP資格群はFoundational、Associate、Professiona(Expert)lの3段階に分かれており、受験者の対象と試験の大枠としては以下を想定しています。

  • Foundational
    • 対象:クラウド初心者やIT未経験者。また、基礎知識を理解したい営業・マーケティング・プロジェクトマネジメントサイドの担当者
    • 試験の大枠:クラウド自体の理解、大枠のサービス概要、クラウド利用料計算の理解
  • Associate
    • 対象:ソリューション設計に1年以上の実務経験のあるITエンジニア
    • 試験の大枠:設計に用いるソリューションの基本理解
  • Professional(Expert)
    • 対象:ソリューション設計に理解のある、実務経験のあるITエンジニア
    • 試験の大枠:設計時のソリューションベストプラクティスの理解、適切なサービス組み合わせの理解

それぞれの資格群の名称(略称)に関しては以下の表のとおりです。

Grade AWS Azure Google
Foundational Cloud Practitioner(CLF) Azure Fundamentals(AZ-900) Cloud Digital Leader(CDL)
Associate Solutions Architect Associate(SAA) Azure Administrator(AZ-104) Associate CloudEngineer(ACE)
Professional(Expert) Solutions Architect Professional(SAP) Azure SolutionsArchitect Expert(AZ-305) Professional Cloud Architect (PCA)

以降は、Professional、Expert資格にフォーカスして説明を行います。

筆者の経歴

(テンプレにはなりますが、)オンプレ&クラウド、ネットワーク&セキュリティのごちゃまぜエンジニアです。担務領域に関しては特にこだわりなくなんとなく興味を持った資格は取得してます。(※My credly)
電通総研ではサイバーセキュリティテクノロジーセンターで主にセキュリティサービス設計、運用やマルチクラウドのセキュリティ設計レビューに従事しています。
また、筆者の各CSPの経験歴としては以下となります。

  1. AWS
    7年程度、メインはクラウドインフラ設計ガッツリです。オンプレ接続のために用いるクラウドリソース管理や運用/監視、リソースデプロイの自動化がメインタスクでした。電通総研に入社後はアプリまで含めたAWS全般のセキュリティ設計レビューを行っています。
  2. Microsoft Azure
    5年程度、メインはクラウドマイグレーションに関わるインフラ設計、ID(Microsoft Entra)の設計・運用でした。電通総研に入社後はMicrosoft defender for cloudをはじめとしたセキュリティサービスの調査や社内向けサービス設計に従事しています。
  3. Google Cloud
    3年程度、以前はBigQueryやApp Engineを触っていた程度です。電通総研に入社後はGoogle Cloudログサービスの調査・検証の実施、Firebaseを利用したWebサイト構築のセキュリティ設計レビューにも参加しています。

チャレンジのおススメ順

最初に、3種すべてを取得するならばの前提で筆者の考える難易度を記載します。各試験で問われる範囲と出題形式、傾向、学習コンテンツを踏まえて、以下の順が望ましいと考えています。

  1. Google Cloud(Professional Cloud Architect)
  2. AWS(Solutions Architect Professional)
  3. Microsoft Azure(Azure Solutions Architect Expert)

はい、見事に筆者のチャレンジ順とは逆です。
単一CSPでガッツリ設計をやっている方は専門の分野を突き詰めるのが望ましいのであまり難易度比較に意味はありませんが、基本は下に行くほど難しい試験である(事前準備が必要である)と筆者は考えています。

各CSP最上位資格で共通で問われる内容

最上位資格の試験について、共通で必要とされる内容を簡単に整理します。

  • 対象CSPのサービス全般に対する理解① 対象のサービス種類(試験に含まれるサービスの範囲)

    • CSPの試験ガイドで具体的に対象と記載されているサービスについてすべてが対象となります。
      例として、AWS(Solutions Architect Professional)であれば試験ガイドの「範囲内の AWS のサービスと機能」となっているサービスはすべて対象です。
    • 各試験によってどこまでを対象とするかは異なりますが、ITサービス構築のためにクラウドインフラを利用するだけではなじみのないAIやデータ分析のサービスも含まれますので、普段利用していないサービスでも用途等は理解しておく必要があります。
  • 対象CSPのサービス全般に対する理解② サービスの単位

    • AWS におけるVPCはリージョナルサービスである」、「Google CloudにおけるVPCはグローバルサービスである」という比較に代表されるようにクラウド設計におけるサービスがどこまでの範囲で展開可能かを明確に覚えておきましょう。
    • 対象としているCSPにフォーカスしてきちんと学習しましょう。実務目線でも設計や提案の際に理解できていないと致命的です。
      例えば、複数リージョンに渡る負荷分散の設計方法は各CSP毎に大きく異なる等ですね。
      (この場合、グローバルロードバランシングの種類をちゃんと理解しているか?になります)
  • 設計の理解① 設定パラメータ

    • 利用ケースが多いサービス(コンピュート、コンテナ、アプリケーション統合)については細かい設定が問われる問題が出題されます。この点に関しては明確に実務経験があった方が望ましいといえます。
    • 対象サービスのパラメータを設定するのに、どういった方法があるのかも含めて押さえておくとよいです。
      1.「環境を作りなおす必要があるのか?」もしくは「既存の環境のままで設定変更が可能か?」
      2.「マネジメントコンソールから設定できるか?」もしくは「APICLIからのみ設定できるのか?」
  • 設計の理解② ソリューションの選定、ソリューションの組み合わせ比較

    • 出題内容としては、具体的なソリューションを一意に特定するケースに加えて、必要な要件に対して複数のソリューションの組み合わせを比較した上で最も適したものを選択するケースも存在します。
    • いわゆるベストプラクティスを選択する必要がありますので、AWSの場合はBlack Beltの様な公式のソリューションガイドを参考に学習するとよいです。
    • 筆者の経験でも、顧客の特殊要件を踏まえ意図的にベストプラクティスを選択しなかった経験もありますし、当時と比較して新しいサービスがリリースされている可能性もありますので、最低限は確認しましょう。

各CSP最上位資格の特色

それぞれの試験の概要と筆者の試験自体に関する印象、筆者の主観的分析を紹介します。

  • AWS Solutions Architect Professional(SAP)

    • 問題数:75問、時間:180分
    • 試験後の印象
      • とにかく問題数が多い。そして問題文、選択肢の文章が比較的長いので持続的な集中力を求められる。
        AWSのProfessional、Security分野の試験では共通している点かと思います。
    • 主観的分析
      1. AWSに関してはCSPがリリースしているサービスの種類が他の2社と比べて多いです。(200個以上)
        時間をかけて理解する必要があり、初学者は数に圧倒されると思います。
      2. 問題そのものは取り組みやすいですが、文章量の理解に時間を要するため練習問題等で慣れておく必要があります。
      3. SAPを含め、AWS資格のコンテンツは数多く存在するためこの点は学習者にプラスです。
  • Azure Solutions Architect Expert(AZ-305)

    • 問題数:不定(概ね50問前後)、時間:120分
    • 試験後の印象
      • 設計の組み合わせやサービスの詳細など細かい部分まで回答を求められる。(理由は後述)
      • 試験への慣れが必要。3パートに分かれており、2パートは選択を終了したら戻ることができない。
      • 本試験はダイレクトに「クラウドインフラ設計」の理解を求められる。
        Microsoft Webページの記載の通り、複数系統に分かれているためです。
    • 主観的分析
      1. CSP3種試験の中では難易度は最も高いと思います。
        設計にフォーカスしているため、サービス単体を理解しているだけではNGなケースが多いです。
      2. Microsoft AzureのAssociate以上の試験に関してはMicrosoft Learnでコンテンツを検索しながら回答が可能です。 その点に起因するかはわかりませんが、事前の学習では手が回らないような調べないとほぼ回答できないような細かいサービス詳細に関する問題も一部出題されます。(この要件を満たすライセンスの種類は?というような問題)
        購入した問題集の設問で構わないのでこんな感じで検索したら出てきそうというのをMicrosoft Learnで事前に確認しておくとよいです。関係のないコンテンツも検索結果に含まれてしまい、思いのほか抽出が難しいです。
      3. 40問程度の大問パート以外にシナリオ問題とケース問題で合計3パート以上で構成され、パート間で戻ることはできないため、時間配分を間違わないようにしましょう。(筆者はAZ-305以外の試験で勘違いし、ドボンしています)
      4. 市販の学習用コンテンツは最低限は存在します。Microsoft AzureはMicrosoft Learn以外にも公式のトレーニングコースが充実しているため、集中的に学習したいものは登録しましょう。
        開催日程が決まっていますが、Microsoft Virtual Training Daysで無料で受講できるハンズオンや講習も存在するので確認しましょう。
  • Google Cloud Professional Cloud Architect(PCA)

    • 問題数:不定(50問以上、60問未満)、時間:120分
    • 試験後の印象
      • 一定以上の知識は必要だが、複雑な問題はあまり出題されない。
        サービスの種類と設計をバランスよく理解しておくことが求められる。
      • 数問で構成されるケース問題が複数出題される。全く関係ない導入文も含まれるので選択をミスらないようにしましょう。
      • 試験中に問題言語を英語に切り替えられない。筆者だけかもしれませんが、細かいオプション説明を英字で確認しようと切り替えても日本語のままでした。
    • 主観的分析
      1. 個人的な忖度ではないですが、試験自体は一番取り組みやすいと感じました。試験時間と問題文、文章量がマッチしていると思います。
      2. ACEとは別にProfessionalとなっているので簡単ではないですが、適度な難易度の問題が適量出題されるイメージです。
      3. 難点は学習コンテンツが少ないことかと思います。PCAに限っては市販の書籍は見当たりませんでした。
        Udemyのコンテンツで日本語対応のもの(※1、※2)がありますのでこちらをお勧めします。
        筆者の感覚では既にACEを取得済みであれば、Udemyのコンテンツを繰り返すだけでも合格することは十分可能だと思います。(自信がない方はラボ演習をしましょう)
      4. 所属する会社によって変わりますが、Google Cloudに関する招待制トレーニングプログラムも存在します。無料でラボコンテンツが一定期間利用できるプログラムです。

※1 https://www.udemy.com/course/google-cloud-professional-cloud-architectpca/
※2 https://www.udemy.com/course/google-cloud-professional-cloud-architect-i/

まとめ

以上を踏まえて、それぞれの試験を試験自体の難易度(筆者の感覚)、試験への慣れの必要性、学習コンテンツの豊富さで整理したいと思います。(勉強時間は各個人によるので含めません)

評価観点 AWS(SAP) Azure(AZ-305) Google(PCA)
試験自体の難易度(筆者感覚) 普通
(サービスの数は多いが基本的なサービス組み合わせ、設計等を理解できていれば問題なし。)
難しい
(ひとえに難しい。細かいところまで出題される。)
比較的取り組みやすい
(サービスの種類を覚え、組み合わせや設計が理解できていれば問題なし。)
試験への慣れの必要性 ある程度必要
(問題数、文章量への慣れが必要。)
慣れが必要
(最終的にExpertとなるためにはAZ-104の合格も併せて必要なので先に受験し訓練しましょう。)
ほぼ不要
(初チャレンジでもケース問題の切り替えに注意すれば問題はないと思います。)
学習コンテンツの豊富さ 豊富
(ググっても、Amazonで検索しても、Udemyでも大量にあります。むしろ精査が難しいレベル。)
普通
(発売されているものは少ないですが、良書が多いので一度は目を通しましょう。)
少ない
(市販書籍がないのでUdemy等を活用しましょう。)

表からチャレンジ順の理由がご理解いただけたかと思いますが、AZ-305に関しては、事前に準備しないといけないもの(知識も当然だが、問題形式や回答方法の予習)が多く、3種横並びで見た場合で最初にチャレンジするのは難易度が高いという評価です。ただ、クラウドインフラ設計という点からは逸脱している内容ではないので、学んでおくことでプラスになる内容であると思います。

最後に

読了いただきありがとうございました。
筆者は事前の積み重ねもあって3種のArchitect最上位資格を約半年間で取得できました。しかし、エンジニア(もしくはコンサルタント)としてのゴールは資格を取得することではありません。
基本はクラウドへの理解を深めるためにCSPの提供するラボ等を活用し、じっくり学習することをお勧めします。
今後もクラウド、セキュリティに関する投稿を行っていきますのでよろしくお願いします。

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執筆:@sakurai.ryo
レビュー:@kobayashi.hinami
Shodoで執筆されました