XI本部 スマートソサエティセンターの飯田です。
私は「DigSports」というAIによって運動能力を測定し、どのスポーツに向いているかを提案する製品のプロダクトオーナーを担当しています。
DigSportsは、運動が苦手な子どもたちや運動から遠ざかってしまった働く世代の方々に対して、自分に合ったスポーツを見つけられる機会を提供し、運動を始めるきっかけや運動習慣化を後押ししています。
smart-society.dentsusoken.com
そんなDigSportsなのですが、技術的なアーキテクチャをガラッと変えた新しいバージョンをリリースしました。
AIで適性のあるスポーツを判定する「DigSports」の新バージョンを提供開始 | お知らせ | 電通総研
本エントリーでは、新バージョン開発をプロダクトオーナーとして経験した悩みや苦悩を書いてみます。
不安との闘い
要約すると、「不安との闘い」が悩みの根源でした。
技術的なこと、BizDev的なこと、営業戦略、様々な部分で決断が求められました。
- 自分の選択が間違っていないか?
- 機能開発の優先度を間違えてないか?
- 「UX的に良いものをつくる」「技術的に良いものをつくる」「つくったものを広める」そのバランスが良いものになっているか?
...等です。
アジャイルで試行錯誤しながらプロダクトをカイゼンしていけるとしても、投資対効果を最大にするために妥当な判断ができているか、「これでいい!」「あ、やっぱダメかも」を繰り返しながら、開発を進めていました。
その中で感じた書いてみます。
1. 資産を作っているか?負債を作っていないか?
DigSportsはエンタープライズなプロダクトと毛色が違うため、エンタープライズ製品に比べ、ソフトウェアの規模はそこまで大きくありません。そのため、開発にあたっては「修正対応のしやすさのため、シンプルさを維持する」ことを意識しています。
また、技術的な側面だけでなく、ビジネス開発の観点からもシンプルさを意識しています。
アジャイルなど試行錯誤していく開発アプローチは、開発・修正のサイクルを短く回すことができますが、
一方、資産となる市場販売目的のソフトウェア開発にかかった費用は、3年間の減価償却が行われます。
つまり、今回の開発コストが3年間に按分されることになるので、不要なものを開発すると“ゴミ”・“負債”を作っていることになるので、“資産”として意味のあるものを残していかないといけません。
「今、行おうとしている開発は、改善なのか?改悪なのか?」
もちろん不確実性の中での判断なので、正解はありませんが、3年後を意識して決断していくのは悩みがつきませんでした。
2. 同じ結論になったとしても、1周回ってくると景色やブレなさが違う
そのように「資産を作れているか?」と悩みながら進めていく中で、ユーザー・顧客の反応や開発メンバーとの議論は、悩みながら決断をしていく際の大きな拠り所でした。
ユーザー・顧客の反応を見る前後でアイディアが変わらなかったとしても、ヒアリングや議論を経てみると、一周回って自分自身への納得感(ひいては、他人に説得する際の自信)がついている感覚がありました。
3. 「ユーザーの声を聞いている」ということに逃げていないか
プロダクト開発における教科書的な模範解答としては「ユーザーの声を聞いて、アジャイル的にPDCAを回して改善する」だと思います。実際、DigSportsのリニューアルにおいてもそこは意識しながら進めました。
しかし、ふとした時に、「ユーザーがXXXって言っていたから」というフレーズを多用している自分に気がつきました。
よくよく考えてみると「ユーザーの声を聞いている」という言い訳を手に入れたことによって、自分で意思決定せず、意思を持った決断から逃げていました。プロダクトオーナとしては、考え抜いて意思決定を全うするべきです。
それからは、“ヒアリングの結果”という第三の何かに委ねてしまっていないか?という不安を意識して意思決定するようになりました。
迷ったら議論できる仲間・戻ってくれる軸があるといい
プロダクト開発は、正解が見えない不確実性が高い中で判断を迫られることが多く、いろいろな不安と闘いながら意思決定をしました。判断に迷ったときや自信を持てない時、立ち戻ることができる基準や製品コンセプトを拠り所としました。
それでも自分の意思決定がブレてしまっていると感じた時は、一緒に開発していた社内のデザインチーム・社外の開発パートナーさんと相談し、自分の意思決定を整えてもらいました。
DigSportsのリニューアルは製品コンセプトや仲間のおかげで、悩みながらも良い意思決定・開発ができたと思っています。
機会があれば、リニューアルしたDigSportsをぜひご体験ください!
www.isid.co.jp
最後に、私たちは一緒に働いてくれる仲間を募集しています!
デジタル技術を社会課題解決につなげるようなプロジェクトを推進していきたいプロジェクトマネージャーやエンジニアを募集しています。 ぜひご応募ください!
スマートシティ導入コンサルタント/スマートシティ戦略コンサルタント執筆:@iida.michitaka、レビュー:@takeda.hideyuki
(Shodoで執筆されました)