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AWS Cloud QuestでAWSの基本サービスを復習してみた

みなさん、こんにちは。電通総研 金融事業部の鈴木です。
最近業務でAWSを触る機会がなくなり、復習したいと考えていたところ「AWS Cloud Quest」というサービスを見つけました。
2024年3月にSolution Architect用のコンテンツが日本語対応したというAWSブログの記事を読み、存在を知りました。

今回はこの「AWS Cloud Quest」を利用してAWSの基本サービスを復習してみて、良かった点・気になった点やどんな人にオススメかを紹介します。

AWS Cloud Quest とは?

AWS Cloud Questとは、実用的な AWS Cloud スキルを身につけるための唯一の3D ロールプレイングゲームです。(AWSより引用)
つまり、ゲームを通してAWSの実用的な知識と経験を積んでいくための学習サービスです。

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学習者はロールと呼ばれる学習レベル・分野を選択し、クラウドスキルを身につけながら仮想都市の市民の困りごとを解決します。
ロールには、Cloud Practitioner、Solution Architect、サーバーレスデベロッパー、機械学習スペシャリスト、セキュリティスペシャリストなどがあります。

現在日本語に対応しているコンテンツは、Cloud Practitioner、Solution Architectの2つです。
また、Cloud Practitionerのみ無料で学習できます。

今回は、このCloud Practitionerを利用して学習します。

利用方法

AWS Cloud Questを利用するために、まずはAWS Skill Builderのサイトにアクセスします。
フィルターから「Training Category > Game-Base Learning」にチェックを入れ、表示された「AWS Cloud Quest: Cloud Practitioner (Japanese) 日本語版」をクリックします。

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表示されたサービスが「AWS Cloud Quest: Cloud Practitioner (Japanese) 日本語版」で「Free」であることを確認し、「ENROLL」をクリックします。
するとサインインが求められるため、「SIGN IN AWS SKILL BUILDER」をクリックして、サインイン画面に進みます。

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AWS Cloud Questの利用には、無料のアカウント登録が必要のためアカウントを登録します。APN(AWS Partner Central)アカウントをお持ちの方はAPNアカウントでもログイン可能です。

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ログイン後、画面中央に表示されるコンテンツをスクロールし、「ゲームを開始する!」をクリックしてください。

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別タブでゲーム画面が開きます。
初期の言語設定が英語になっているため、以下画像のように「歯車マーク→言語→日本語」を選択して、言語を日本語に設定してください。
(日本語版を選択したのにデフォルトは英語なんですよね…)

言語設定ができましたら、トップ画面の「ゲーム開始」をクリックしてゲームを開始してください。

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実際に試してみた

ゲームを開始すると、ストーリーの説明が入ります。AWSを活用して街の課題を解決していくのが目的のようです。
しばらく進んでいくと、アバターの作成に移ります。身体、顔、服装などが設定できます。自分の好みで作成してみてください。

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そのまま進めると、困りごとを抱えた人に出会います。これらの課題をヒアリングし、AWSを用いてどのように課題解決するかを考えていきます。
以下の画像ではインフラリソースのプロビジョニングに関する課題を抱えており、Amazon S3を利用して静的Webサイトをデプロイすることで解決しようとします。

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AWS Cloud Questでは、上記のような依頼者とのやり取りの後、「1.学習」「2.計画」「3.実践」「4.DIY」の順で学習を進めていきます。

1.学習

まずは学習です。今回構成するアーキテクチャの概要や、サービスについて学習します。
それぞれ英語ではありますが解説動画がついており、「3.実践」で実際にコンソールを触る前に、課題で利用するサービスの概要やベストプラクティスを学習できます。

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2.計画

次に計画です。今回構築するアーキテクチャについて全体像を理解し、何をすべきかを把握します。
このアーキテクチャ構成や、やるべき操作を事前に理解しておくことで学習の理解度が上がります。

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3.実践

ここまで来ましたら、実際にAWSのコンソールを操作してシステムを構築します。
左上の「AWSコンソールを開く」をクリックすることで、課題用の環境がAWS側でプロビジョニングされてコンソール画面から利用できます。
学習用に別途AWSアカウントを用意する必要がなくてとても快適です。

これによってプロビジョニングされる環境では、課題に関係のないサービスにはアクセスできないようになっているとのことです。
しかし、事故を防ぐためにも画像赤枠のステップにある手順や、課題解決に関係ある操作から逸脱したことはしないように心がけましょう。

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画像赤枠のステップに沿って操作をしていくと、課題解決に必要な知識・操作を身につけることができます。
ステップを進めていくと、コンソール画面の操作について説明や解説を表示してくれます。

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4.DIY

最後にDIYです。「3.実践」のコンソール画面から課題を達成します。
DIYでは「3.実践」のようなステップはありませんが、これまでの知識を用いてシステムを構築していきましょう。

左上の「AWSコンソールを開く」をクリックしてコンソール画面を開きます。
課題をクリアするために、以下画像の赤点線枠を参考にAWSリソースの設定をしてシステムを構築します。

システムの構築が完了したら検証します。
指定された内容を入力して、「検証」をクリックすることで正しく設定できているかを確認してもらえます。
(以下の画像は設定が間違っていたため検証エラーになっており、何がよくなかったのかを教えてくれています)

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正しく設定できた場合、「お疲れ様でした」のメッセージが表示されます。
正しくシステム構築できたため、依頼主に報告して完了という流れになります。

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完了報告

課題を解決したら依頼主に報告します。
お礼に住んでいる街を発展させることができます。結構テンション上がりますね。

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以上のような流れで、困りごとを抱えた人の課題をAWSで解決していくことでAWSの知識と実践的な経験を積むことができます。

良かった点

AWS Cloud Questの良かった点をまとめていきます。
総じて良い学習体験を得られましたが、特に以下の点が良いと思いました。

①課題ごとに学習環境を提供してくれるため、自分で学習環境をセットアップする手間を省ける。
「実際に試してみた」の章で紹介した通り、AWS Cloud Questではボタンひとつで学習環境がプロビジョニングされて利用できます。
別途AWSアカウントを用意せずとも、ワンクリックで10秒程度で環境が提供されるため、学習ハードルはとても下がります。

通常AWSの学習をする場合、AWSアカウントを作成して無料枠を気にしながら学習する場合が多いのではないでしょうか。
この環境は、課題が終了するとアクセス権がなくなり、自動的に破棄されます。
そのため、リソースの削除し忘れによる課金を心配することもありません。
(EC2などの止め忘れとかでエライ目を見る心配がなくて良いですね)

②コンソール画面の操作解説が丁寧で、実際にコンソール画面を操作しながら学習できる。
「実際に試してみた」の章で紹介した通り、課題をクリアするために必要な操作は丁寧に解説されます。
特に初学者に対して、ハンズオン形式でコンソール画面を操作できるため、安心して操作できると思います。

AWSリソースを設定後、設定内容が正しいかをAWS側で簡単に検証してくれる。
「実際に試してみた」の章で紹介した通り、設定したリソースの設定内容が正しいかどうかをAWS側で検証してくれます。
紹介した例では、S3のバケット名を入力することで検証されます。

学習用に自分で環境構築してAWSリソースを設定した場合、意図した設定になっているかを検証することは、時として大変なことがあるかと思います。
どのように検証するかを自分で考えることに学びがある場合は多々ありますが、検証を簡単にできることは学習ハードルを下げる面でメリットだと思います。

気になった点

AWS Cloud Questの気になった点は、特にありませんでした。
強いていうなら主人公のアバターが少し怖いところでしょうか…?

どんな人にオススメか?

AWS Cloud Questは以下のような人たちにオススメしたいです。

  • AWSについて勉強したいが、どこから勉強して良いかわからない人
  • コンソール画面を実際に触って学習したい人

今回はCloud Practitionerを触ったということもありますが、AWS初学者には入門教材としてとても良いのではないかと思います。
AWS環境を自前で用意する必要がなく、Cloud Practitionerについては無料でコンソールを操作しながら学習できます。そのため、「従業員に手を動かしながらAWSを学習してほしいが、AWS環境を用意するのが難しい」という課題にもマッチしているのではないでしょうか?

まとめ

今回はAWS Cloud QuestのCloud Practitionerを利用して、AWSの基本サービスを復習してみました。
ゲーム形式と言いつつ、AWSのコンソール画面を操作しながら学習できるため学びが多いと感じました。

「良かった点」の章でも紹介した通り、AWSの学習ハードルを下げつつ、コンソール画面を操作しながら学べるというのが強みだと思います。
もちろんAWS Cloud Questの範囲から外れる内容がある場合や自由にAWSサービスを触りたい場合は、自前のAWSアカウントで学習するのが良いと思いますが、AWSを学習する上で選択肢の一つには入れても良いのではないかと思いました。

機会があれば、Cloud Practitioner以外も試してみたいと思います。


執筆:@suzuki.takuma、レビュー:@handa.kenta
Shodoで執筆されました