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新人研修にFactorioを導入してみた!

はいどーもー!

Xイノベーション本部の宮澤響です!

本記事では、株式会社電通国際情報サービス(以下、ISID)の新人研修にFactorioを導入した話を紹介します!

そもそもFactorioって何?

Factorioとは、自動化された工場を建設して様々なアイテムを生産していく、サンドボックス型のシミュレーションゲームです。 資源の採掘、技術の研究、インフラストラクチャの構築、生産の自動化などを行い、最終的にはロケットで人工衛星を打ち上げ、プレイヤーが不時着した未知の星から脱出することが目的となります。 最初は手動での生産に始まり、そこから様々なアイテムを駆使して生産を自動化、効率化していく点が、このゲームの大きな特徴であり醍醐味となっています。

(画像はSteamのFactorioのページより)

この研修を導入するに至った背景

きっかけは、新入社員同士のアイスブレイクの場を内製で提供できないか、という人事部からの依頼でした。 もちろん、リモートでの研修が主体となる新入社員にとっては、対面でアイスブレイクができる場というだけでも十分価値があります。 しかし、新人研修の一環であるため、せっかくなら楽しむだけでなく学びを得てもらいたい(具体的には、論理思考力を強化してもらいたい)ということになり、この研修を企画することになりました。

そこで、何か良い題材がないか探していたところ、このISIDテックブログの発起人でもある佐藤太一さんにFactorioを紹介いただきました。 先述のとおり、Factorioは自動化や効率化がキモであることから、SIerの営みと関連させて論理思考力を強化できるのではないかと考え、Factorioを題材とすることに決定しました。

ちなみに、研修担当者である私自身はFactorio未経験であり、このようなジャンルのゲームのプレイ経験もほとんどありませんでした。 そのため、まずはFactorioを休日に触るところから始めました。

Factorioの実行環境を巡る紆余曲折

研修を導入するまでにはいくつかの紆余曲折がありましたが、その中でも最も大きかったものが、Factorioをプレイするにあたり、Factorioをどこで実行するか、というものでした。

最初に検討したのは、Factorioを新入社員の社用PCにダウンロードさせ、ローカル環境で実行する形式です。 こちらは単純明快で技術的な問題も発生しない形式ではありますが、社用PCにゲームを入れるのはいかがなものか、という懸念もあり、代替手段がないか検証することになりました。

続いて検討したのは、新入社員69名分の仮想マシンを社内に用意し、新入社員には社用PCからそこに接続してもらう、という形式です。 この形式であれば新入社員の社用PCにFactorioをダウンロードさせる必要がないため、先述の懸念は解消されます。 しかし、人数分の仮想マシンを用意することはリソース的に難しいと担当者に断られてしまったため、別の代替手段を検討することになりました。

次に検討したのは、クラウドサービスを利用する形式です。 社内の仮想マシンの代わりに、Amazon EC2インスタンスAmazon WorkSpacesのデスクトップを用意し、それらに接続する形式の検証を行いました。 ですが、操作の遅延により快適にプレイできない、社内ネットワークの都合によりFactorioに必要なUDPでの通信ができない、などの問題点が発覚し、これらも現実的でないことが分かりました。

ここまでの検討の結果を踏まえ、一時はFactorioの導入自体を白紙に戻す案まで浮上しました。

しかし、人事部との相談の末、「そもそも遊び目的でなく研修のために実施するという大前提があるため、必要情報(今回が特別であること、社用PCはログを取られていること、など)をインプットすれば、大きな問題にはならないだろう」という判断をいただき、一周回って新入社員の社用PCにダウンロードさせる形式で研修を実施することとなりました。

迎えた研修当日

そんなこんなで迎えた研修当日です。 当日は、以下のような流れで研修を進めました。

  1. 導入
  2. 操作説明・ハンズオン
  3. 実習ルール説明
  4. 実習1
  5. 振り返り1
  6. 実習2
  7. 振り返り2
  8. 解説とまとめ

導入

自己紹介、Factorioのダウンロード、研修の目的や内容の説明を行いました。 目的は、以下の力の基礎を身につけることとしました。

  • 筋道立てて物事を考える力
  • 自動化、効率化できる部分を考える力
  • ドキュメントを読んで仕様を理解する力

また、通常の研修や業務において、社用PCに不要なゲームやアプリをダウンロードする行為は禁止である旨の注意喚起も行いました。

操作説明・ハンズオン

ハンズオン形式で基本操作を説明しました。 公式のチュートリアルは少し難易度が高く、今回の実習でプレイするチーム生産シナリオには不要な要素(研究、蒸気機関による電力の確保、バイターとの戦闘など)も含まれることから、今回は弊社独自のハンズオンを実施しました。

実習ルール説明

今回の実習でプレイするチーム生産シナリオのルールを説明しました。 このシナリオでは、プレイヤーはいくつかのチームに分かれて、共通のお題として指定されたアイテムを納品します。 それぞれのチームは同一の条件(生成されるフィールドや初期アイテムなど)の下でアイテムを製作していき、最終的に最も早く納品を完了させたチームの勝利です。

今回、このシナリオを選択した理由は以下です。

  • ゴールまでの道筋が明確で、難易度が初心者にちょうど良い
  • チームで競い合える
  • 以下の特徴により、自動化、効率化に専念できる
    • 研究が進んだ状態で開始する
    • 初期アイテムを豊富に所持している
    • 最初から電力を利用できる
    • バイターが出現しない
    • ゲーム時間の概念がない(夜時間がないので暗くならない)

今回は、3台のヘッドレスサーバを用意し、それぞれのサーバに4チームずつ接続してもらう形式としました。 つまり、それぞれのサーバごと、4チームの中での勝負となります。 それぞれのサーバは同一のセーブデータから起動しているため、お題は全12チーム共通です。

実習

チーム生産シナリオでの実習を行いました。 納品完了までの時間の使い方は完全にチームに委ねたため、善は急げとすぐに資源を採掘し始めるチーム、急がば回れと全員で作戦会議をするチーム、間を取って戦略立案組と採掘組に分かれるチームなど、チームごとに様々な戦略で実習を進めていました。 運営側としては、このようにチームによって戦略がばらけているほど、振り返り内容の共有によって得られる気づきも大きいと考えていたため、目論見どおりといったところでした。

なお、実習1と実習2のお題は以下です。

  • 実習1
    • 駅:50
    • 銅板:400
  • 実習2
    • レーダー:50
    • 自動車:10

想定ではどちらの所要時間も60分程度の見込みでしたが、それを上回るペースで納品を完了させるチームも散見されました。

振り返り

実習での良かった点、改善点などをチームで振り返ってもらい、その内容を簡単に発表してもらいました。 最終的に必要になる資源の数に応じてリソースの配分を意識すべきだった、初期アイテムに何があるかとその使い方を確認しておくべきだった、など、重要な気づきが多く生まれていました。

解説とまとめ

研修冒頭で提示した、以下の力の基礎を身につけるという目的に沿って、それぞれの力が今回の研修で必要だった場面と、実際の業務で必要になる場面を例に挙げて解説を行いました。

  • 筋道立てて物事を考える力
  • 自動化、効率化できる部分を考える力
  • ドキュメントを読んで仕様を理解する力

最後には、再度注意喚起を行った上で、新入社員のPCからFactorioを削除して終了となりました。

実施してみてどうだったか

率直な感想としては、無事に研修を実施できてホッとしているというのが正直なところです。

企画、技術的な検証、各種準備、当日の運営、振り返り、アウトプット(本記事)に至るまでの一連の業務を担当できたことは、私にとって非常に貴重で有意義な経験でした。 特に、検証の過程では、仮想サーバやAWS、Dockerなどの知識を深めることができたため、私自身の技術的な学びにも繋がりました。 また、私自身、人前で何かを説明したり、ハンズオンを実施したりといったことが好きであるため、当日も楽しんで運営することができました。

新入社員からも、ただ楽しかったというだけでなく、SIerに必要なスキルに関する学びを得られた、といったフィードバックをいただいており、この研修で伝えたかったことはしっかりと伝えられたのではないかと思います。 何から何まで初の試みでしたが、研修としては成功だったんじゃないかなと思います。

一方、ダウンロードに時間がかかる、回線が重く稀にサーバとの接続が切断される、1チームが納品を完了させてしまうと同じサーバに接続している他のチームは納品完了できずに途中で終了してしまう(これに関しては事前に承知の上で許容していたことではありましたが)など、改善すべき点も見つかりました。

今後は内定者研修などに応用したいという話にもなっているので、そのあたりの対応方法は引き続き検討していきたいと考えています。

おわりに

本記事では、ISIDの新人研修にFactorioを導入した話を紹介しました! 紆余曲折はあったものの、研修としては成功裏に終わり、新入社員からも高評価をいただけました。 皆さんもぜひ、所属企業の研修にFactorioを取り入れてみませんか?

ということで、今回も最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!


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執筆:@miyazawa.hibiki、レビュー:@sato.taichiShodoで執筆されました