こんにちは。CIT事業部の石際です。
LINE周辺のシステム構築やカスタマーサポート領域のシステム導入などを担当しています。
LINEをカスタマーサポートのチャネルとして利用している企業は多いですが、まだまだ電話問い合わせのチャネルとして利用しているケースは少ないです。
そこで今回は、LINEからコンタクトセンターへ電話ができる「LINEコールPlus」というサービスについて、
LINEコールPlusの利用ユースケースや顧客体験などもあわせてご紹介します!
1. LINEコールPlusとは
「LINEコールPlus」は、LINE公式アカウントの有料オプション機能で、ユーザーがLINE公式アカウントから無料でカスタマーサポートに電話できるサービスです。
LINEコールPlusの仕組み
LINEとPBXなどの音声通信基盤を接続することで、LINEアプリからコンタクトセンターへの着信が可能になります。
LINEから発行された発信用URLにユーザーがアクセスすることで通話を開始します。
発信時には、LINE公式アカウントの友だち追加(ブロック解除)が確認され、通話が開始されます。
音声通信基盤は各社さまざまな製品・サービスがありますが、これまでの経験から、導入コストが低く拡張性に富んだTwilioを採用しています。
コンタクトセンタープラットフォーム「Twilio Flex」 | ソリューション | 電通総研
これから説明するユースケースは全てTwilioの利用を想定しています。
2. システム構成のパターン
「ただLINEと電話を繋ぐだけでしょう?」と思うかもしれませんが、それぞれの企業により、お問い合わせ窓口の体制や運用状況は異なります。
各々の要件を満たすためには、単純に繋ぐだけでなく音声通信基盤側のカスタマイズが欠かせません。
具体的にどのようなシステム構成、カスタマイズパターンがあるか、要件に応じて解説します。
① 複数の既存の問い合わせ窓口に転送
LINEコール(無料機能)では、1つの電話番号のみに転送が可能でした。
しかし、LINEコールPlusを利用すれば、複数の電話番号に転送できます。
IVR(Interactive Voice Response:自動音声応答システム)で要件を確認すれば、複数の窓口があってもそれぞれに転送できます。
既存のコンタクトセンターを大きく変えることなく、新たなチャネルとしてLINEを追加できるのが大きなメリットです。
② 複数の電話番号にルーティング
TwilioのACD(Automatic Call Distribution:着信呼自動分配装置)機能を使って、複数の電話番号にルーティングします。
最初の電話番号と通話ができなければ、次の電話番号にコールするなどコールフローの設計が可能です
これは、コールフローを新たに作るので、LINEを中心とした問い合わせ窓口を新設する場合などに有効です。
③ ソフトフォンで電話応対
電話番号への転送ではなく、オペレーターがソフトフォン(Twilio Flex)で受電し、通話します。
※ Twilio Flexとは?
クラウド型コンタクトセンタープラットフォーム。
電話、チャット、SMSなどマルチチャネルに対応し、オペレーターの画面のUIやIVR、ACDなどのフルカスタマイズが可能です。
TwilioのACD機能を使って、オペレーターに電話を割り当てます。
オペレーターはFlexの画面から着信を確認し、通話します。
Flexはクラウドサービスのため、オペレーターは在宅ワークなど場所を問わず働くことが可能です。
また、電話番号はTwilioで取得するため、電話回線を準備する必要もなく、コストを抑えられるメリットもあります。
④ コールセンターシステムとの連携
Twilio Flexは、コンタクトセンターシステムとCTI(Computer Telephony Integration)連携することも可能です。
他のチャネルでのカスタマーサポートと同時に、LINEからのお問い合わせも管理できます。
このように柔軟な設計が可能なのが、LINEコールPlusとTwilioの最大の魅力です。
規模やLINEというチャネルの位置づけに応じた設計が重要となります。
3. LINEコールPlusを利用して顧客体験を向上させる
次に、ユーザーの視点からどのような価値を提供できるかを考えてみましょう。
もちろん、ユーザーにとって最大のメリットは、馴染みのあるLINEから無料で電話ができることです。
その他にLINEコールPlusを利用した場合、どのような顧客体験を提供できるでしょうか。
以下に少し発展的な方法をご紹介します。
発信用URLに追加できるパラメーター
LINEコールPlusでは、ユーザーが発信用URLをクリックすることで通話を開始します。
この発信用URLには「パラメーター」を追加できます。
パラメーターを利用することで、カスタマーサポートをよりシームレスかつ効率的に行うことができます。
ビジュアルIVR
IVRの音声ガイダンスを聞いてボタンを押すのは面倒なことがあります。
しかし、チャットまたはWeb画面から要件を選択し、その選択を発信用URLの「パラメーター」に入れて渡すことで要件に応じた電話のルーティングが可能になります。
これにより、ユーザーはIVRによるストレスから解放されます。
4. まとめ
いかがでしたか。
LINEコールPlusの利用は、事業者にもユーザーにも多くのメリットがあります。
個人的には、
- 海外の日本人向けの問い合わせ窓口
- LINE利用者層を対象とした問い合わせ窓口
などが非常に有効だと思います。
チャネルが充実しコンタクトセンター内の電話の件数が減っていると言われている今でも、一定の需要は存在します。
そして、電話、チャット、Webアプリなどが使えるLINEは、カスタマーサポートの領域で顧客体験(CX)の向上に貢献してくれるでしょう。
弊社のLINEコールPlusのソリューションページには導入時に必要な手続きなども記載していますので よろしければ合わせてご覧ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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<電通×IT>電通グループ基幹システムプロジェクトマネージャー エンタープライズ向けDX推進リーダー/エンジニア <電通×IT>クラウドアーキテクト <電通×IT>アプリケーションアーキテクト 製品・プラットフォーム開発エンジニア執筆:@ishigiwa_yumi、レビュー:@miyazawa.hibiki
(Shodoで執筆されました)