XI本部 プロダクトイノベーションセンター アジャイル開発グループの徳山です。
前回の記事「FlutterFlowとは?ノーコードでスマホアプリ開発を始める方法」ではFlutterFlowについての特徴や機能といった基本知識を紹介しました。今回は、FlutterFlowを同じく人気のあるノーコードツールであるAdaloと比較することで両者の特徴や違いを解説します。よりFlutterFlowへの理解を深める助けになれば幸いです。
はじめに
本記事の目的は、FlutterFlowとAdaloの特徴や機能を比較し、FluterFlowにどのような強みや弱みがあるのかを理解するための情報を提供します。
FlutterFlowの基本的な知識はある上で、他のローコードツールと具体的にどのような違いがあるのかについて興味がある方を対象としています。
Adaloの概略
Adalo(アダロ)は、FlutterFlowと同じくドラッグ&ドロップのビジュアルエディターでモバイルアプリを開発できます。異なる点としてはコードによる機能追加が提供されていないためノーコードでの開発となります。また、最初からデータベースが提供されておりUIのデザインからデータベース設定まで一貫して行うことができる点も異なります。FlutterFlowより用意されている標準のウィジェット数やアクション数は少ないですが、その分シンプルなため非エンジニアの方でも手軽にアプリ開発を始めることができます。
Adaloを利用したアプリ開発者数の公開はありませんが、Adaloで作成されたアプリの数は100万以上、アプリのエンドユーザー数は200万人以上と多くの利用者に支持されていることが伺えます。
FlutterFlowとAdaloの違いについて
各サービスの代表的な違いについては下表となります。
項目 | FlutterFlow | Adalo |
---|---|---|
サービス開始 | 2020 | 2018 |
価格(月払い) | $30〜 | $45〜 |
アプリの開発言語 | Flutter | React Native(カスタムコード不可) |
対応プラットフォーム | iOS、Android、Web、デスクトップ(Windows、macOS、Linux) | iOS、Android、Web(PWA) |
ビジュアルエディター | Flutter製のモダンなウィジェットを利用して柔軟なUIデザインが可能 | スタイルの制限はあるが、シンプルで直感的なUIデザインが可能 |
ウィジェット/コンポーネント | 豊富なウィジェットとカスタムコンポーネントの作成が可能 | 基本的なコンポーネントがそろっているが種類は限定的 |
バックエンド | 外部サービス(Firebase、Supabaseなど)と連携が必要 | 内蔵データベースを使用可能 |
独自のロジック | カスタムコード(Dart)により挿入可能 | カスタムコードの挿入は不可 |
学習コスト | 中程度(DartやBaaSの知識があると有利) | 低い(プログラミング知識不要) |
コードのエクスポート | 可能 | 不可 |
拡張性 | 高い(カスタムコードと外部サービス連携で拡張可能) | 低い(プラットフォーム内の機能に制限される) |
Adaloの特徴
シンプルなビジュアルエディター
FlutterFlowと比較するとツールバーの表示項目(履歴管理や開発者向けのメニュー など)や、コンポーネントのスタイルプロパティの表示位置が変わったシンプルなエディター画面となります。
FLutterFlowと異なり複数画面を俯瞰しながらデザインができますが、その分画面数が増えると管理が大変になります。
標準のウィジェット数は50種類に満たないですが、マーケットプレイスで無料のウィジェットが多く用意されているためインストールして利用できます(有料のものもあります)。
一方で、FlutterFlowでは柔軟なスタイル変更が可能でしたがAdaloでは「誰でも簡単に」といったアプリ設計となっているため高度なスタイルのカスタマイズには対応できません。例えば、要素間で〇〇pxの余白を取りたいといった具体的な指定ができないといったことやモバイルヘッダーの高さを細かく調整できないといった制約があります。
内蔵データベース
Adalo自身が独自のデータベース機能を持ち、FutterFlowのように外部サービスの利用を前提とした作りになっていません。もちろんAdaloのAPIでサードパーティサービスや独自サーバーに接続することは可能です。
各ツールに適した場面
これまでの違いから、それぞれに適した場面は下記の通りです。
FlutterFlowが適している場面
- 高度なデザインやロジック、独自の機能が求められるアプリ
- マルチプラットフォームでの対応が必要なアプリ
- 将来的にコードをエクスポート・拡張したい場合
Adaloが適している場面
- シンプルなデザインや機能が限定されたアプリ
- 開発未経験のメンバーのみでアプリを開発する場合
- 内蔵データベースを利用して、簡単にデータ管理を行いたい場合
まとめ
ここまでAdaloの特徴やFlutterFlowとの違いについてみてきました。
Adaloの他にも私たちのグループでは複数のノーコード・ローコードツールについて調査しましたが、カスタマイズ性や機能性といった点からモバイルアプリ向けではFlutteFlowが最も適していると判断しました。もちろんこれは私たちが業務アプリを扱うことが多いためなので、読者の方の中にはAdaloの方が適している場合もあるでしょう。
それぞれの特徴を捉えた上で、プロジェクトの目的やニーズに合わせて適切なツールを選択することが重要です。
次回はFlutterFlowの具体的な制約について触れ、FlutterFlowでモバイルアプリ開発を行う上での注意点について解説いたします。
参考資料
FlutterFlow ドキュメント
Adalo 公式サイト
Adalo ドキュメント
執筆:@tokuyama.raido、レビュー:@miyazawa.hibiki
(Shodoで執筆されました)