電通総研 テックブログ

電通総研が運営する技術ブログ

30代後半からの技術士(情報工学部門)チャレンジ 第一次試験編

Xイノベーション本部デジタルエンゲージメントセンターの橋詰です。普段は金融機関向けにSalesforce(Financial Services Cloud)を導入するプロジェクトのPMや、MuleSoft Anypoint Platformを用いたソリューションのビジネス開発などを担当しています。あしかけ2年程かかりましたが、今年、技術士情報工学部門)に合格・登録をすることができました。技術士の試験は複数の段階がありまして、2年かかったと言っても実は、一次試験・二次試験(筆記)・二次試験(面接)とそれぞれ一発で合格することができました。技術士とはどういった資格なのかと、合格にいたるまでにどんな勉強をしたのかをまとめます。

技術士って何?

日本技術士会の説明を引用すると、技術士とは、

「科学技術に関する技術的専門知識と高等の応用能力及び豊富な実務経験を有し、公益を確保するため、高い技術者倫理を備えた優れた技術者」の育成を図るための、国による資格認定制度(文部科学省所管)です。

https://www.engineer.or.jp/contents/about_engineers.html

とのことです。知識や実務経験に加えて、技術者としての倫理観を持つことを期待されています。

なぜ受験したの?

受験を考え始めたのは30代中盤でした。当時は「技術士」という資格の存在をぼんやりと知っているだけでした。そのころITコンサルの案件でご一緒したエンジニアの先輩方が技術士の資格を保有していたことや、会社の先輩でもお持ちの方に出会い、触発されたことがきっかけです。中堅エンジニアとして次のステップに進むために挑戦しようと考えました。さらに、技術者倫理について再学習できることと、これまでのエンジニア経験の振り返りに良いと思ったことも動機です。

SIerのエンジニアはどの部門を受けるの?

私は技術士情報工学部門:ソフトウェア工学をターゲットに勉強をしました。IT関連の仕事についている人は技術部門の中の「情報工学部門」を目指すことになると思います。さらに技術部門は選択科目に分かれており、コンピュータ科学・ソフトウェア工学・情報システム・情報基盤のいずれかを選ぶことになります。

技術士にはどんな試験があるの?

簡単にご紹介すると、

  1. 第一次試験 基礎科目・適性科目・専門科目に関する択一式試験
  2. 第二次試験(筆記) 小論文の論述試験
  3. 第二次試験(面接) 面接による口頭試験

が行われます。テストのガイドについては改訂もありますので、日本技術士会のホームページをチェックしてください。
https://www.engineer.or.jp/contents/become_engineer.html

私がおこなった第一次試験の対策をご紹介

3つの試験を一回の投稿で書くと長くなりますので、今回は第一次試験の受験対策を紹介します。

第一次試験の内容

第一次試験は択一式試験(つまり、マークシート方式)です。基礎科目・適性科目・専門科目の3科目の出題となります。

試験の準備

IT業界では「技術士」は比較的マイナーな資格です(一方で「建設」ではかなりメジャー)。そのため、技術士情報工学部門むけの試験勉強に関する情報が少ない状況です。そこで試験対策勉強に必要な情報や傾向を把握するために、網羅的な情報をどうにか収集する必要があります。界隈では有名な「sukiyaki塾」というコミュニティサイトでは盛んな情報発信が行われていますのでここは要チェックです。またsukiyaki塾が出版している試験ガイド本( 独学・過去問で効率的に突破する! 最新版「技術士試験」勉強法 (DOBOOKS) など)もまず通読することがおすすめです。

専門科目の対策→普段勉強していれば大丈夫

さて、個別の対策です。まずは専門科目の対策です。技術部門として自身の専門科目を選択します。私が選択した情報工学部門の場合、試験の難易度は「応用情報処理技術者試験」の午前試験レベルと認識しておくことが妥当です。普段ITに関する情報のキャッチアップを行い、専門書・技術書を読み、春・秋の情報処理技術者試験を受けている人は問題なくクリアできる難易度でした。試験対策用の勉強をする場合は、応用情報処理技術者試験の対策本を利用することがおすすめで、そのため学習教材の選択肢も豊富でとっつきやすいです。私は情報処理技術者試験の勉強ではTACの教材を利用することが多いため、こちらの問題集( 情報処理技術者試験 ALL IN ONE オールインワン パーフェクトマスター 共通午前1 2024年度版 [出題実績リスト付き 出題可能性が高い問題がわかる!](TAC出版) )を利用しました。

適性科目の対策→せっかくなので技術者倫理を学ぶ

適性科目は、技術者倫理や技術士に関連する法律を問う科目です。試験対策は技術士法の把握などになります。まずは過去問を解いてみて苦手分野を把握し、知識を補充する対策になります。ぜひおすすめしたいのは、せっかくの機会を利用し「技術者倫理」について数冊本を読んでみることです。会社に勤めている日常で技術者倫理を積極的に学ぶ機会は少ないです。私も貴重な学習機会だと考え、以下のような書籍やサイトを使って学びを深めました。

基礎科目の対策→30代後半はつらい

基礎科目は、科学技術全般に関する基礎知識を問う試験です。実はこの試験が30代後半には一番辛いです。出題範囲は「科学技術全般」(お題目・カテゴリは決まっている)で、難易度は大学学部にて学習する授業のレベル。自分が専門とする分野ならまだしも、物理や化学、電気・電子、環境などの専門外の分野を、30代後半のいま思い出すのはかなり大変でした。学びなおしとなると、範囲も広く、ちょっと途方にくれます・・・。今回はどうにか合格点を取れたので良かったわけですが、学習の過程で下記を感じました。

  • (そもそも)第一次試験は20代のうちに受験することがおすすめ
    • 大学で学んだ記憶が新しいうちにチャレンジするのが良いですね。
  • とにかく過去問題をたくさんこなして積み上げる
    • 問題慣れすること、重要テーマを頑張って学びなおし・暗記すること

過去問題については日本技術士会のホームページで公開されていますのでこれを利用しましょう。

試験会場の様子

先ほども書いた通りIT分野ではマイナーな資格ということもあり、受験者の年齢層は比較的高い印象です。一次試験の会場で見かける他の分野(メジャーな建設や土木など)の受験者には大学生かなという年齢層の人がとても多いです。察するに、一次試験の受験タイミングの理想形は、大学院の入試勉強が終わったあとについでに技術士一次試験もチャレンジすることなのかもしれません。その年齢だと専門科目がやや難しく感じるかもしれませんが、年齢が上がった後にぶつかる難関の基礎科目を効率的に勉強・合格できそうです。といっても、私の場合、この資格の存在を知ったのが30代中盤だったわけで…布教活動を頑張ろうと思います。

おわりに

30代後半で受験した技術士一次試験の対策方法をまとめました。

  • 普段からITの基礎学習は頑張っておく
  • 適性科目はついでに技術者倫理の勉強をするのがお得
  • 基礎科目は難しいので過去問を頑張ってたくさん解く

これで一次試験は独学でもクリアできると思います。なお、当社ではこのような資格取得のための教材費や受験手数料をサポートする制度もあります。今回は下記の支援を受けて受験しました。

  • 資格試験の勉強に利用する書籍の購入費用
  • 試験の受験手数料

加えて、技術士合格後の免許登録税なども会社から全額サポートしてもらえました。(合格後の細かいお話は後日書きます)

さて次の壁は二次試験(筆記)です。本当の壁はこの筆記です。続きはまた書きたいと思います。

私たちは一緒に働いてくれる仲間を募集しています!

Mulesoftコンサルタント(顧客接点DX・CRM領域) CRMソリューションコンサルタント

執筆:@hashizume.hideki、レビュー:Ishizawa Kento (@kent)
Shodoで執筆されました