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AccountEngagement(旧Pardot)を用いたB2Bマーケティングの高度化

こんにちは。CIT事業部の山田です。

本記事は、下記の方々を対象にした内容となります。

  • BtoBマーケティングを実施中で、「Marketing Automationツール(以後MAツールを記載)の効果を改善したい or もっと活用していきたい!」方
  • Salesforce製品を導入済みで「MAツールの導入 or 製品移行を検討中」の方

また技術的な対応方法詳細に焦点を当てるのではなく、
「MAツール導入効果が見えにくい」「どう改善すべきか」
という課題に対して、BtoBマーケティングで必要なアクション/Account Engagement(旧Pardot)機能とのマッピングを中心としています。

1.BtoBマーケティングとMAツール導入

BtoBマーケティングを実施するために「MAツールを導入してみた」ものの、効果を感じられないという企業様が多く存在します。

参考:Sansan 2023年5月実施「BtoBマーケティングに関する実態調査」
https://jp.corp-sansan.com/news/2023/0601.html

MAツールの導入目的は「効率的な受注獲得」にも関わらず、「リード(=見込み)を増やす」ことが目的となってしまっているケースも少なくないのではないでしょうか?

ここで1つ質問をさせてください。皆様にとっての「質の良いリード(=見込み客)」とは具体的にどんな”ヒト”でしょうか?

上記を知り得るために、後述の図1:業務プロセス を繰り返し実施し、「効率的な受注獲得」に繋げていくのがBtoBマーケティングの基本だと思います。ただ、これら全てを”人手”で管理するのは作業負荷が高いため、「社内で一元化&効率的に管理したい!」と導入されるのがMAツールです。

言い換えれば、

  • 上記機能を満たしていない(満たせない)MAツールを導入しても意味がない!
  • とはいえMAツールを導入しただけではNG。ジャーニーはじめ、データ分析した結果をもとに改善&質の良いリードを見極めて効率的にアプローチ… etc. と常に改善・チューニングが必要!

となります

▼図1:業務プロセス(マーケティング部門とセールス部門での一般的な対応イメージ)

2.BtoBマーケティングで必要なアクション↔︎Account Engagement機能とのマッピング

ここからは、Salesforce社のMAツール製品の1つAccount Engagement(旧Pardot)(以後「AE」と記載)に絞り、先述した「業務プロセス」ベースでBtoBマーケティングで必要なアクション↔︎AE機能とのマッピングを深掘りします。

2-1.リード収集/ セグメント化

ジャーニーを作成・改善する際に、切っても切れないのが「セグメント化」です。リードの属性ごとにジャーニーを分けて管理することが重要です。

AEでは「リスト」や「タグ」でセグメントを管理できます。(詳細はSalesforce社のヘルプをご参照)

  • セグメント化の一例)
    • リスト
      • 指定した条件や行動ログ、(後述の)Engagementプログラム上での条件分岐結果、外部データのインポート単位、画面上での個別指定 …etc. 多岐にわたる方法でリストを作成できます
      • このリストにて、メルマガ配信先・除外先/Engagementプログラム上の分岐条件 等に流用可能です
    • タグ
      • ヒトやコンテンツ単位で、タグを複数付与することが可能で、このタグを用いてデータを絞り込むことが可能です

▼図2:リストの作成方法(一例) ダイナミックリスト機能
リードに関する情報をもとに、UI上で指定した項目・条件に合致するリードを自動抽出可能

2-2.ジャーニーの作成

ジャーニーを作成する上では、「売り手」(=読者の皆様)と「買い手」のアクションいずれも、条件分岐に設定することが重要となります。

AEの「Engagementプログラム」機能では多岐に渡る項目を、分岐条件として画面上で指定&実現可能です。(詳細はSalesforce社のヘルプをご参照)

  • Engagement プログラム
    • AE側で管理しているコンテンツ・データ項目だけでなく、Salesforce側へのデータ連携なども、ジャーニーとして指定することも可能です。
    • さらにインテグレーションを行えば、3rd.Party連携側でのアクション結果(Engagementプログラム上では「外部アクティビティ」と表現)を分岐条件に設定することも可能です!
      • 3rd.Party連携の利用例)
        • ビデオ動画の視聴、Webinar受講、アンケート回答結果、SMS連携 …etc. から連携された値をもとに、条件分岐を設定可能

▼図3:Engagement プログラム

2-3.リードの引き渡し/選定

マーケからセールスへリードを引き渡す際、リードの「関心度」「マッチ度」のスコアリングが重要です。営業側でリード選定できる情報がSFACRM側に連携されていないと、無駄なアポ・商談が発生します。

AEではSalesforceとコネクタ同期しており、AEで取得したデータをSalesforce側(SFACRM)ににシームレスに連携&管理できることはもちろん、Salesforce側機能を活用してアサインすることなども可能です

  • リードの引き渡し/選定 の一例)
    • AE側で取得・スコアリングしたデータを、Salesforce側に同期&参照可能
    • AE→SFにレコードを新規作成・同期する際に、営業担当者/キュー を自動アサイ
      (AEの複数機能で本業務に関する設定が可能です。本記事ではオートメーションルール機能に絞っております)

▼図4:AE側で取得・スコアリングされたレコード

▼図5:Salesforce側でのレコード表示

▼図6:AE側で指定した条件に応じて、営業担当者/キュー を自動アサイ
一例)「オートメーションルール」機能を用いて、自動アサインするようAE上で設定

2-4.アポ/商談/クロージング/受注

B2Bマーケティングの場合、「リード」の獲得・育成においてDMU(Decision Making Unit)のどのタイプが「リード」になるかは、売り手側ではコントロールできません。そのため受注までこぎつけるためには、DMUの把握も必要です。
しかし、DMUを把握し決裁者を特定したとしても、決裁者にのみ刺さるコンテンツ作成だけでは不十分です。
DMUのタイプに応じて興味・関心が異なるため、それぞれに適したコンテンツを作成するのが重要となります。

AEでは、容易に様々なコンテンツを作成&Salesforceと横断したコンテンツ流用も可能です。

  • 標準機能
    • Lightningビルダーを用いて、ドラッグ&ドロップでの直感的なコンテンツ作成が可能です
    • もちろん、HTMLやCSSを用いた、細かいデザイン・レイアウトを実現可能なコンテンツ作成も可能です
  • カスタマイズ
    • 加えて、Lightning Web Components( ※2)を活用すれば、SalesfoorceとAEでの横断コンテンツとして多岐に渡り流用することも可能です

▼図7:Lihghtning ビルダーを用いたコンテンツ作成

2-5.顧客維持・育成

この「顧客維持・育成」プロセスについては「データ収集・分析/ 改善」と大きく関係しており、AEで利用する機能説明も重複してしまうため、次の章でまとめて説明します。

3.ジャーニーの作成・改善

AE提供機能を利用すれば、業務プロセスを自動化でき人手による管理削減に繋げられることは、ご理解いただけたかと思います。ただ実際にMAを導入した場合、次に障壁となるのは「データ収集・分析/ 改善」と「ジャーニーの作成・具体的な改善方法」かと思われます。

AEでは「収集・分析」を実施できる機能が購入時に付いてくる(※2)ため、導入後すぐにこのサイクルを実践できます。

▼図8:一般的に推奨されている、データ収集・分析/ ジャーニー作成・改善方法

AE導入によるデータ収集・分析

  • AEでは、標準レポートとダッシュボードが提供されるため、以下の視点でデータ収集・分析が可能です。【図9参照】
    • メールマガジン(一例)
      • 開封数、クリック数、バウンス率、CTRなど
    • LP(一例)
      • 訪問数、クリック数など
  • さらに、AE購入時に付属してくるライセンスや機能(※2)を活用&カスタマイズすることで、より詳細なレポートとダッシュボードを作成し視覚化できます。
  • もちろん、AE上で作成・管理しているコンテンツ単位での分析だけでなく、Google Tag Manager やGoogle Analytics側で一元管理・分析することも可能です。

▼図9:AE標準レポート(配信したメール単位での分析)

▼図10:Analytics Studioでの分析
<本記事上の用語補足> ※詳細はSalesforce担当営業等にご確認ください
CRM Analytics(旧:Tableau CRM および Einstein Analytics) = データ分析ツールとしての製品名
B2B Marketing Analytics = CRM Analytics上のアプリケーション名(≒フォルダー名)
・Analytics Studio = CRM Analytics上の機能名(≒アプリケーションランチャー名)

4.終わりに

簡易ではありますが、AEで下記が実現可能な理由を"業務プロセスベース"でAE機能とマッピングしつつ説明いたしました。

  • 「BtoBマーケティングで必要なアクションをカバー可能」
  • 「ジャーニーをはじめ、データ分析した結果をもとに改善&質の良いリードを見極めて効率的にアプローチ可能」

ただし要件に応じて、やはりAE標準機能だけではカバーしきれずにカスタマイズが必要な箇所も一部存在します。

▼図11:アクション&要件と、AE機能(標準/カスタマイズ可否)のマッピング表(一例)

弊社では、Salesfoce側のカスタマイズを含む、横断的なAccount Engagementの導入・改善サポートも可能です。

「BtoBマーケティングを実施中で、AEの効果を改善したい or もっと活用していきたい方」
Salesforce製品を導入済みで、MAツールの導入or移行を検討中の方」

上記に該当する方は是非、下記リンクよりお気軽にご相談ください!
https://www.dentsusoken.com/request/cb2b

参考・補足情報

  • (※1)…Salesforceから提供されているSketchのプラグインを使用してデザイン(モックアップ)を制作してみた記事も公開済です。ご興味のある方は是非こちらもご参照ください。
  • (※2)…ご利用製品のエディション・オプション購入可否に応じて、一部機能の利用可否が異なります。既にAE導入済のお客様は、Salesforce社の担当営業等にご確認ください。

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執筆:@yamada.shiori、レビュー:@handa.kenta
Shodoで執筆されました