ここでは、電通総研のCAEソリューションビジネスを紹介します。
CAEって何?なにを売っているの?どんな仕事をするの?といった疑問にお応えするため、実際の業務内容を通じて、CAEの魅力とやりがいを伝えたいと思います。
- 目次
- CAEとは?
- 電通総研のCAEソリューション
- CAEの事例
- 技術者としての成長
- まとめ
CAEとは?
シミュレーションと聞いて、何を思い浮かべますか?
津波や地震の被害予測、ゲーム、天気予報など様々ありますが、一般には現実の現象をデジタルで再現することを意味します。

製造業の世界では、製品を試作して実験する代わりに、CAE(Computer Aided Engineering)と呼ばれるシミュレーション技術の適用が年々拡大しています。

CAEは、単に計算することではなく、製品の設計や開発を支援するために、コンピュータ上でシミュレーションを行い技術的な判断をすることを意味します。
設計開発にCAEを適用することで得られる大きな価値は 「実際に物がなくても設計や開発ができる」 ことです。
試作と実験を中心とした製品開発は、性能を満足するまで何度も繰り返す必要があり、コストも時間もかかります。
CAEを活用すれば、試作回数を減らして開発効率を大幅に向上させることができます。また、設計の初期段階で複数の案を比較したり、従来では困難だった複雑な構造や形状の検討をしたりすることも可能になります。

電通総研のCAEソリューション
電通総研は設立以来約50年、日本国内のCAE普及に努め、自動車、航空、電機精密、重工など様々な業界のお客様に対してCAEの活用支援を行っています。
CAEツールの販売、サポート、技術コンサルティングを中心に関連するソリューションの提供を行っています。

特に設計開発の期間短縮、効率化、省力化等の要望に対しては、クラウドの高性能な計算リソースを使用したり、CAEの自動実行やデータ管理を行うシステムを提供したり、AIを活用する等の多方面からの支援を行っています。
CAEの事例
CAEの事例として「ギアケース騒音対策」と「ハンズフリードアオープナーの構造解析」の2つについて紹介します。
ギアケース騒音の対策検討
- 概要
ギアの噛み合いを起点とする騒音の問題に対して、CAEでそのメカニズムを明らかにして対策を検討しました。 - 解析手法
ギアの回転動作、構造の振動、周囲への放射音を計算するため、機構解析、振動解析、音響解析を用いて、現象を再現しました。

- 対策検討
放射音解析結果に対して周波数分析を行うことで、複数のギア噛み合い成分が含まれていることが分かりました。
その中で最も支配的な、1列目と2列目のギア嚙み合い2次成分である1545Hzに着目して対策を検討します。

1545Hzの放射音について、その伝達メカニズムを分析すると、ケース側面部位の寄与が大きいことが明らかになりました。
このため、この部位の構造に対して振動しにくいように設計変更を行うことで、騒音の低減を行うことができます。

ハンズフリードアオープナーの構造解析
- 概要
2020年から流行した新型コロナウイルス感染症の接触感染防止策として、手のひらを使わずにドアノブを引き開けるハンズフリードアオープナーがあります。
ハンズフリードアオープナーには、使いやすさ、強度、軽量化が求められるため、CAEでの事前検証を行い、3Dプリンターで実物を作成しました。

- 設計検討 腕でドアを引き開ける際に、スムーズな使用感を実現するため、腕が当たる部分の長さや角度を変えて多数の形状パターンを検討しました。

最終的には、どの角度から腕を入れても痛くないよう丸みを帯びた形状を採用し、腕を引っかける部分はドアを開くときには滑らないようにフィットしつつ、腕を抜くときには邪魔にならない長さと角度に設計しました。

- 設計案に対するCAE評価
設計案の形状に対して、CAEで様々な使用条件を与えて破損しないことを確認します。

- 最適形状の検討
さらに初期設計案に対して、ラティス構造を適用して、設計最適化のCAE検討を行いました。
最終設計案では、軽量化を実現すると共に、変形量の低減、強度の向上が得られました。

- まとめ
ハンズフリードアオープナーの設計にあたり、CAEを用いた最適化解析を行いました。
結果として、初期設計案に対して、軽量化、変形量の低減、強度の向上を実現する形状を設計し、3Dプリンターで作成しました。

AIの活用
- CAEサロゲートモデル
従来のCAE評価を代替できるAI予測モデルです。
計算時間かかるCAEプロセスを数秒~数十秒で実現できます。

- Generative Design
形状生成AIとサロゲートモデルを組み合わせた先進的な自動設計AIソリューションです。
設計仕様を入力すると、制約条件やトレードオフ等を満たせる設計形状案を複数提示します。
対話的なやりとりで、設計者のエンジニアリング判断をサポートします。

技術者としての成長
二つの成長要素
CAEソリューションを担当するにあたって、”CAE自体の技術力”と”プロジェクトマネジメント力”が求められます。
電通総研では、この二つのチカラを身に付けて成長することができます。
- 技術者としての能力/守備範囲を広げられる
お客様の課題をCAEで解決するためには、その領域の技術理解とCAEツールを使いこなすスキルが必要となります。さらには、製造業のお客様がどのような業務をしているのか、その内容への理解も欠かせません。
製造業での実務経験がなくても、社内でサポートし合える体制があり、仕事をしながら覚えていくことができます。
また、多種多様な業種のお客様を支援するため、様々な分野の幅広いCAE技術を習得し、さらにはCAE周辺の技術分野にも能力を拡げることが可能です。

* プロジェクトを前に進める力が身につく
現場では、お客様、協力会社、社内の多様な相手と連携しながら業務を進めています。
複数の関係者と連携して課題を整理し、進捗を管理しながらゴールに向かって導く。CAE活用支援の一連の流れの中で、自然とプロジェクトマネジメントのスキルが磨かれていきます。
人と人とをつなぎながら、プロジェクトを前に進めるための能力は、まさにプロジェクトマネジメントのチカラです。
まとめ
電通総研のCAEソリューションは、最先端のシミュレーション技術で“未来を予測”し、ものづくりの可能性を広げていきます。
航空・自動車・家電など幅広い業界を支え、複雑な課題に挑む多彩なツールと技術が我々にはあります。
若手も第一線で活躍し、仲間と共に挑戦しながら成長できる環境が魅力です。
あなたの好奇心と探究心が、社会を変える一歩になります。
技術で世界を動かす、そのスタートがここにあります。
執筆:@moriguchi.kota
レビュー:@yamada.y
(Shodoで執筆されました)